


「天才ですから」
3月。
出会いと別れの季節。
といわれるのは学生時代だけで、大人になると特段いつもと変わりません。
変わるのは、気温と花粉の飛散量くらいでしょうか?
しかしながら、大人になってからも、【春だから・新年度だから】と新しいことに挑戦(しようと)したり、新たな目標を立てたりと、3月には人を浮足立たせるなにかがあります。
これは最早、日本人のDNAにすり込まれているのかと思うほど抗うことができません。
突然ですが、日本人はなぜ【3】を好むのでしょうか?
「世界三大料理」「日本三大花火」「御三家」「三種の神器」「駆けつけ三杯」
なにかにつけて【3】を多用します。
国宝、「三十三間堂」
観音菩薩が33種類の姿に身を変えて人を救うという信仰から、堂内陣の柱間が33、つまり柱と柱の間の空間が33あることに由来します。
そして東京タワー。
完成したのが昭和33年で、高さは333m、総工費は約30億円(33億円じゃないんだ?!)
東京タワーができた頃の日本を舞台にした映画も「三」丁目の夕日です。
諺にいたっては、挙げたらきりがありません。
このように、私たちの生活には【3】という数字が溢れています。
こんにちは。
好きな数字は【4】
ティアラの戸塚です。
今日は【3】という数字について綴ろうと思っていましたが、冒頭で全て出し尽くしてしまいました。
既にすっからかんです。
これ以上、話を拡げることを早々にあきらめ、急遽(挙げたらきりがない)という理由で端折ってしまった諺に内容変更です。
実は諺には、建築由来のものが多数存在します。
数字の【3】といい勝負なんです。
「子はかすがい」
鎹(かすがい)とは2つの物をつなぐ建築用金具。こどもが夫婦の縁をつなぎとめる役割になるということを表します。
「くぎを刺す」
日本古来の木造建築は、釘や接合金物を使わず、仕口・継手だけで接合していましたが、後に念のために釘を打つようになったことから、予め念をおしておくことを表します。
「羽目を外す」
隙間なくきちんとならべて板をはることを「羽目」といいます。本来整然と並ぶ羽目をはずしてしまっては意味がなくなってしまいます。羽目を外すとは、調子に乗って度をはずすこと。「〇〇するハメになった」のハメも、ここからくるようです。
「埒が明かない」
「埒」とは、生垣やしきりのことをいいます。埒があかないとは、障害物が取り除かれない。つまり、はかどらないことをいいます。
「うだつが上がらない」
うだつとは、本来は梁から屋根裏にむかって立てる小さい柱のことをいったのですが、やがて隣家との間に張り出した、小さな防火壁を「うだつ」と呼ぶようになりました。本来は防火壁だった「うだつ」ですが、だんだん装飾的な意味合いが強くなり、財力を誇示するためのものとなりました。
ここから、財力がない、生活力がない、というようなことを「うだつが上がらない」と表現するようになりました。
皆様が耳にしたことがあるようなメジャーな諺を5つ挙げてみましたが、
「鑿(のみ)といえば槌(つち)」
「屋上屋を架す」
といった聞いたことがないような諺も多数存在します。
「これって建築用語から来てるの?」という慣用句もあります。
「いの一番」
「束の間」
「叩き上げ」
このように、建築と私たちの暮らしには密接な関係があるんですね。
言葉には、その時代の背景や情勢が反映されることが多くあります。
諺や慣用句が多く誕生した時代(いつかはわかりませんが)は大工さん・職人さんは人気の職業だったんだと思います。
世界中の言語の中でも、とりわけ難しいといわれる日本語ですが、
世相まで表してくれるのですから、奥が深いが故、習得の難しさがあるのかもしれませんね。
その日本語を、習うことなく操れる私たちは天才かもしれません。
そういえば、「好きな言葉はなに?」と聞かれることがありますよね。
今日聞かれたら
「天才ですから」
と答えます。
この記事を書いたスタッフ
